オステオパシーとは

『自然治癒力を十分に活かして、身体が持っている機能性を取り戻し、健康に導く医学』

オステオパシーの歴史は古く、1874年にアメリカのミズリー州カークスビルにおいて、A.T.スティル医師(1828-1917)によって発表されました。スティルは、人体の70~80%を占める筋骨格系が人体に与える影響をおろそかにしてはいけないという信念に基づいて解剖学に着目し、「全体的治療」と呼ばれる新しい病気の捉え方に基づいて、従来の医学にマニピュレーションを加えた「オステオパシー」を作り上げました。

オステオパシーの歴史、哲学、日本の状況などについては、『日本オステオパシー連合(JOF)』をご覧ください。


オステオパシーの哲学

 オステオパシーは、哲学であり、科学であり、技術であるといわれます。
  哲学には、身体の構造と機能の概念が含まれます。
  科学には、予防、治療、緩和に関係する化学、物理学、生物学が含まれます。
  技術とは、これら哲学と科学の応用になります。

健康は、人間が持つ自然治癒力を基礎としています。 その治癒力によって健康を阻害する要因に対処することができます。

病気は、この治癒力が低下したとき、あるいはこの治癒力を凌駕するものによって打ち負かされた時に起こります。

 オステオパシーでは、さまざまな要因によって自然治癒力が低下するとし、その根本的なものとして、筋骨格系の局所的な妨害と障害としています。 従って、オステオパシーでは、自然治癒力を高めることによって、最良の状態で機能させることを目的としています。

 スティルの治療は、2大原理の上に成り立っています。
 1. 血液と組織が持つ病気に対する普遍免疫理論。
      ~  化学的な免疫の障害
 2. 最大の病因は背骨に由来するとする脊柱障害理論
      ~  解剖学的な構造・機能の障害

 これらから、現在ではオテスオパシー哲学に基づき、次の4つの原理がオステオパシー医学の実践に適用されています。
 1. 人体は、一つのユニットである。
 2. 人体は、自己防衛、自己管理能力を持つ。
 3. 人体の構造と機能は、相互に関連する。
 4. オステオパシーは、上記の3つの原理が働いている。

 日本においては、オステオパシーの発展をテーマとして、1997年10月に『日本オステオパシー連合(JOF)』が設立されました。 これは、「全日本オステオパシー協会」「関西オステオパシー協会」「日本オステオパシー学会」によって構成され、1996年のAAOの総会で発表されたオステオパシー医に関する世界統一基準に対して、AAOの提示する基準を満たす教育・試験制度を確立しています。


オステオパシーの哲学について興味のある方は、『オステオパシーの哲学』(日本オステオパシーメディスン協会(JOMA)監修)をご覧ください。


クラシカルオステオパシーについて

 A.T.スティルによって創設されたオステオパシーは、スティルの死後J.M.リトルジョンによってイギリスに伝わり、オステオパシーの原型となる手技療法をベースに現在に至っております。

 ◆ オステオパシーの特徴は、

  1. オステオパシーの原則に基づいた調整を行なう。
  2. 生命力が身体にどのような影響を与えるかを考えて、身体の生命力を活性化させる。
  3. 身体の部分と全体のつながりがスムーズに働きかけできるように調整をする。
  4. 脊椎のバランスを調整して、調和のとれた身体にする。

 ◆ オステオパシーとは、

  1. オステオパシーは、マニピュレーションではありません。
  2. オステオパシー病変は、生理学的なものであって、解剖学的なものではありません。
  3. プロセスは、「調整」であって「矯正」ではありません。
  4. 「調整」は、局所的なものではなく全体的な相互調整によってなされます。

 ◆ オステオパシーの目的は、

  1. 組織を活性化させること。
  2. 骨格全体を調整すること。
  3. 中枢神経系を調整(抑制・促進)すること。
  4. 活性化された流れを自由に循環させること。

 人体は、活性化するための力、流れ、そしてそのプロセスを持っています。

 ◆ オステオパシーの本質的原則

  1. 健康は自然であり、出生から老年までのあいだの病気や死というものは不自然(神秘的)なことである。
  2. 身体の障害は、体液とエネルギーの自由な循環と神経エネルギーの連続性に対する機械的な閉塞の結果である。
  3. 体液循環と神経エネルギーの障害は、骨変位、筋肉の収縮、靭帯の断裂、血管の狭窄/拡張、組織物質の肥大化、または組織の鬱血状態にみられる。
  4. 異常な状態は、身体の構造や機能の変化だけではなく、生命力の心身への影響、刺激に対して過敏な状態、生命力・プロセスへの活動の有無を生じる。
  5. 正常な状態に回復するための有効なマニピュレーションの目的は、生命力の調整、生命機能の調和、そして自然治癒力を引出して健康へ導くことである。

 ◆ 異常を正常にすることはできません

  いかなる状態であっても、異常な状態から正常な状態になるためには常に逆の過程をたどって徐々に変化していきます。
  決して、悪い(急性・亜急性・慢性)状態を飛び越えていきなり正常に戻ることはありません。

 ◆ オステオパシーの定義  ~ J.M.リトルジョン ~

  1. 身体の構造と体液の循環を正常化するために、異常をきたした構造と構造上の健康状態との関係を調整する。
  2. 人体の有機的組織においての調和を促進する際の機能的な活動における協力体制を確保する。(身体のバランス)